第2弾 ドイツ・ベルリンのメディアアートの祭典「トランスメディアーレ2014」出展作品について
2014.1.16
1月29日から2月2日までドイツのベルリンで開催されるメディアアートの祭典「トランスメディアーレ2014」に文化庁メディア芸術祭が参加します。
「トランスメディアーレ2014」のテーマは「afterglow(=デジタルの余韻)」。
本フェスティバルでは、デジタル時代以降の表現の在り方を問う作品が紹介され、プレイベントとして世界中から70 名以上のアーティストやプログラマーが集うイベント「Art Hack Day Berlin」が開催されます。ここで制作された作品は、「トランスメディアーレ」会期中に発表される予定で、文化庁メディア芸術祭からも複数の作家が参加します。
企画ディレクターは、第14 回〜第16 回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門の審査委員を務め、様々なメディアでプロデュースやコンテンツ開発を手掛ける伊藤ガビン氏です。
第2弾プレスリリース
トランスメディアーレ2014 http://www.transmediale.de/
会期 : 「トランスメディアーレ2014」 2014年1月29日(水)〜2月2日(日)
プレイベント「アートハックデイ」 1月27日(月)〜29日(水)
会場 : 世界文化の家 Haus der Kultured der Welt (ドイツ・ベルリン)
入場料 : 8euro〜(チケットの種類によって異なる)
「トランスメディアーレ」は1988年から始まった「ビデオ・フィルム・フェスティバル」を前身とし、毎年ドイツ・ベルリンで開催されているメディアアート・フェスティバルです。毎回設定される異なるテーマの上、様々な視点から現代文化を再考し続けています。
プレイベント「アートハックデイ」はアートを試みる技術者と、テクノロジーを試行するアーティストのためのインターネットをベースにした活動です。先駆的な技術やアートを通じたコラボレーションの可能性を探求し、2012年から各地で開催されています。
文化庁メディア芸術祭では、複数の作家による作品展示・関連イベントを実施します。本フェスティバルテーマ「afterglow」から、日本のメディア芸術領域にある表現や創作の特徴に着目し、企画ディレクターである伊藤ガビン氏が「exodus from the formal internet」として企画を構成しました。
主催:文化庁
共催:トランスメディアーレ2014
企画ディレクター:伊藤 ガビン(ボストーク株式会社代表)
事業アドバイザー:ディビッド・ディヒーリ(2dk., Ltd代表)
■企画テーマ:「exodus from the formal internet」 (エグゾダス・フロム・ザ・フォーマル・インターネット)
(正しいインターネットからの脱出)
伊藤 ガビン
かつてインターネットは様々な意味で自由な空間だった。あるいは自由を求める人々が集うフロンティアだった。その未来にユートピアを見ていた。
しかしインターネットの普及が進み、スマートフォンやスマート家電などが生活に染み渡る中でその存在が不可視となった結果(そしてそれは僕らが望んだことだったにもかかわらず)、そこはなんだかずいぶん窮屈な空間になってきた。
いまポスト・デジタルを思う時に、このネットに蔓延する窮屈さとどう向き合うかということが大きなテーマとなる。
文化庁メディア芸術祭の過去の作品の中、あるいはそれを作った作家の中には、こうした窮屈さを炙り出している者、あるいはこの窮屈さから脱出する方法を模索している者達がいる。
本企画では、そうした作家・作品を紹介したい。
■参加作品(12/20発表済)
『どうでもいいね!』
IDPW (アイパス)
ソフトウェア(第16回エンターテインメント部門新人賞)
国内で話題化し た「どうでもいいね!ボタン」は、同じくFacebook の普及するドイツでも似た感覚を共有できるのか。その感覚の正体とは一体何なのか。「どうでもいいね!ボタン」の持つ根本的な感覚を広く捉え直し、トランスメディアーレ内で問い直す。出来上がったアプリは新作として発表予定。
©IDPW
『VideoBomber』
エキソニモ/渋家/Maltine Records
アプリケーション、メデイアパフォーマンス(第17 回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品)
高度化するCG、高解像度化するディスプレイ、小型化するプロジェクターや映像再生装置(としてのスマートフォン)。『VideoBomber』はそれら最先端テクノロジーに乗っかりつつも、それの期待するところを完全に裏切った、映像表現そのものへのハッキング行為である。トランスメディアーレのアートハックデイにおいては、『VideoBomber』の機動力、適応力の高さを最大限に活かし、特殊な環境から繰り出される新たな表現や技を模索する。
©exonemo / Shibuhouse/ Maltine Records
■参加作品(1/16発表)
『思い過ごすものたち』
谷口暁彦
メディアインスタレーション(2013)
スマートフォンのようなポケットに収まる小型のデバイスが普及し、日常の中で常にインターネットに繋がり、コミュニケーションの多くがそこで行われている現在。まさに、メディアテクノロジーは日々の生活と地続きなものになっている。それは、コンピュータやネットワークの中の出来事が画面の中だけで完結するのではなく、画面の外の生活と接続しているような状態でもある。iPad や iPhoneといった、日常の中に浸透したデバイスを最小限の操作で構成した彫刻作品『思い過ごすものたち』は、それらを静かに可視化し鑑賞者に問いかける。
©谷口暁彦
『コールズ』
毛利悠子
メディアインスタレーション(2013)
ここ数年、展示する場所にそもそも存在する諸現象(光、重力、雑音など)と、小さなオブジェクトを組み合わせるインスタレーションを発表してきた。
空間の些細な現象をオブジェクト使うことで強調し、注意をそちら向かせることで、その場所が違ってみえてくるようにする。それは、場所や建物がすでに備えているが、簡単には見えてこない、重ねてきた歴史や、建物の構造から生まれる特別な現象を、作品を通して呼び覚ますことにようにも思える。
『コールズ』は、古くから人や、人ならぬものまでも「呼び覚まして」きた道具を使い、アートハックデイ・トランスメディアーレの舞台となる場所の何かを呼び覚まそうとするものである。
©Yuko MOHRI
『BCCKS』(ブックス)
松本弦人
紙と電子の書籍が読める作れる売れるサービス。
web 上で編集した本を、iPad、iPhone、android、PC 等複数のフォーマットに自動生成するだけでなく、一般書籍レベルの「紙の本」にもできる。その日に起こったできごとをすぐさま電子書籍として配本、大量の写真データなどを1冊から「紙の本」にすることができる。
アーティストプロフィールをマメ単にまとめた『Profil』、制作過程を作品ごとに取材したノート『Anmerkung』全体を通した『Buch』の三冊を制作し、電子と紙で会期中に発行する。完成した書籍は『BCCKS』のオンライン上にて無料で閲覧できる。http://bccks.jp/
©BCCKS
■関連イベント
「アーティスト・プレゼンテーション」
出演: エキソニモ、IDPW、谷口暁彦、毛利悠子ほか
日時: 1月29日(水)19:00〜
会場: 世界文化の家(HKW)展示ホール
「アーティストトーク」
●第一部「理想郷からの脱出」
出演: 伊藤ガビン、エキソニモ、IDPW
日時: 1月31日(金)16:00〜
会場: 世界文化の家(HKW)ホワイエステージ
●第二部「八百万のモノ/ものから勝手にいきものを感じとる」
出演: 伊藤ガビン、谷口暁彦、毛利悠子
日時: 2月1日(土)19:00〜
会場: 世界文化の家(HKW)ホワイエステージ
『インターネットヤミ市』 http://berlin.yami1.biz/jp/
参加者:トランスメディアーレ参加アーティスト、ドイツ・ベルリン在住アーティストなど
日時: 2月2日(日)12:00〜20:00
会場: 世界文化の家(HKW)展示ホール
©IDPW
『Desktop BAM』 (デスクトップ・バム)
パフォーマンス
出演者:エキソニモ
日時: 2月2日(日)20:00〜20:15
会場: 世界文化の家(HKW) カフェグローバルステージ
©exonemo