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JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業

上映プログラム

The Medium as Somatic Impulse—Short film OVERSEAS


作品の根幹を成すコンセプトが、時間/場所/身体の三要素で構成されたショートフィルムを世界中から厳選し、「身体的衝動としてのメディウム」のテーマで切り取る。

プログラム監修:宇川 直宏(現在美術家/京都造形芸術大学教授/DOMMUNE主宰)


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
Kintsugi

APOTROPIA (Antonella MIGNONE / Cristiano PANEPUCCIA) (イタリア)

第18回エンターテインメント部門優秀賞4分30秒
映像作品

本作は作家の自伝的な物語に基づいて制作された映像作品である。作者のミニョーネとパネプッチャは、2003年に人生を大きく変えるほどの交通事故に遭った。作中で、ミニョーネは長年使用してきた松葉杖を用いて情動的なダンスを繰り広げる。タイトルの由来となった「金継(きんつ)ぎ」とは、壊れた陶器の継ぎ目を金で覆い修繕する日本の技法だ。破損した物を修復し、その継ぎ目に新たな趣を見出すこの技法は、物質の尊さや美しさはそこに積み重ねられた時間に宿るという価値観に根差したものといえる。作中で金継ぎは、肉体的・精神的な回復のプロセスの詩的なメタファーとして引用されている。彼女の涙が「金色の樹脂」になって自らの傷を癒し、トラウマを受け入れて変わることで、新しい可能性が開かれていく―。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
The Mute

Hilla BEN ARI (イスラエル)

第18回アート部門審査委員会推薦作品1分36秒
映像作品

ひとつの場面が繰り返され、終わりなく続いていく映像作品。馬がつながれている荷馬車の荷台には、ブリッジをした女性がいる。荷馬車に運転手はいない。その場所にとどまっている馬の顔、しっぽ、足がわずかに動く一方で、荷台の女性は同じ姿勢を保とうとして小さく震えている。終わりのないシーンが描かれる。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
KAWURAS

Hendrik LACKUS / Lars SICHAU / Andreas MEVES (ドイツ )

第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品 20分
映像作品

ジャグリングの技からインスパイアを受け、闘病中の青年を大道芸人に見立てたシュールな物語を描く映像作品。ある朝、KAWURASが目を覚ますと頭に白い球がのっていた。最初は普段通りに過ごしていたが、球を使ったジャグリングの技が注目を集めるようになっていく。ある日、突然気を失って病院に運ばれ、意識を取り戻すと余命宣告を受けることになり―。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
FAINT

Natalie PLASKURA (ドイツ )

第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品5分58秒
映像作品

静物、動かない人物、ひっそりとしたらせん階段、ゆっくりと時を刻むメトロノーム。絵画のようなシーンが次々と映し出される。この作品の中では、時間が静止し、一秒が永遠にすら感じられる。名のない登場人物は無機質な存在となり、幻覚のように立ち現れては消えてゆく。主人公は複雑な思考の世界に閉ざされ彷徨い、やがて自分を失っていく。



JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
WE ARE OUTSIDE PLAYING IN THE GARDEN

Friederike HOPPE (ドイツ)

第18回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品10分
映像作品

本作は、「indoor garden © institution」と呼ばれる施設を舞台に、奇妙で、不穏な風景を描き出す映像作品。ここでは日常から切り離された休暇を取ることが、人々に許されている。施設内にはポニー、さまざまなゲーム、お姫様の衣装など、遊びとパーティーのためにあらゆるものが用意されているが―。