現在ご覧になっているのはアーカイブサイトです。

JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

海外メディア芸術祭等参加事業日本のメディア芸術を、世界へ。

“The Annex 香港” 企画展 「Ubiquitous Humanity (偏在する人間性)」

レポート

11/26(土)から11/29(火)まで香港の非営利の芸術文化機関MILL6財団が主催する「TECHSTYLE SERIES 1.0: ARIADNE’S THREAD」展の連携企画として、企画展「Ubiquitous Humanity(偏在する人間性)」を開催しました。
企画ディレクターであり、MILL6財団シニアキュレーターの高橋瑞木氏が選出した13組の作家による作品を、香港中心地の中環(セントラル)の商業施設Nan Fung Place内のギャラリースペースThe Annexにて紹介しました。また、九龍塘(カオルーントン)では、メディア芸術の専門的な教育機関である香港城市大学Run Run Shaw Creative Centreにて本企画テーマに沿った長編アニメーション(3作品)、キュレーションプログラム(5作品)、上映プログラム2本(19作品)の上映とトークイベントを開催しました。

オープニングレセプション

11/26(土)に開かれたレセプションではMILL6財団ディレクターと香港城市大学学長のスピーチに続き、日本から参加した安野太郎氏による『ゾンビ音楽』(第17回アート部門審査委員会推薦作品)のオープニングパフォーマンスが 披露され、多くの来場者を魅了しました。
11月27日(日)には、本企画展に参加するアーティストによるトークイベントを開催。多くのアーティストの「失敗談」で盛り上がりました。

11月28日(火)には香港城市大学Run Run Shaw Creative Centreで第17回アニメーション部門大賞『はちみつ色のユン』を上映。本作品は香港では初めての上映となりました。上映後にはユン監督と香港城市大学のWaliczky Tamas Pal教授によるトークイベントを行いました。トークイベント中には、会場内の学生からも多くの質問が飛び交い、そのひとつひとつの質問に丁寧に答えるユン監督の姿が印象的でした。
展覧会会期中は子供から大人まで幅広い年齢層の方が訪れ、テクノロジーと人間が生み出す芸術作品を楽しんでいました。会期後半には展示を鑑賞した来場者からの口コミもあり、多くの学生やアート関係者が熱心に展示を鑑賞するだけでなく、アーティストと交流する姿も見受けられました。

参加者の声

高橋 瑞木

(香港企画展「「Ubiquitous Humanity (偏在する人間性)」ディレクター)

メディアアーティストの活動が盛んな香港では、本展に対する注目も高く、短期間の会期ながら予想以上の観客が来場してくれた。本展ではメディア芸術と人間の言語活動、身体表現、感性の関わりに焦点を絞ることで、逆説的に人間性を問い直すことが主題だった。映像やインスタレーションに加え、参加作家のパフォーマンス、デモンストレーションで、この主題が明確に伝わった手応えがあった。
アーティストトークでは、「失敗」「作家活動の中で達成できなかったこと」「観客から予想外の反応があったこと」について話したが、展示作品からはうかがうことができないアーティストの素顔や、失敗談を通してアーティスト同士が共感しあう、まさに「人間的な」瞬間を紹介することができた。

LEUNG Chi Wo

(第19回アート部門審査委員会推薦作品選出作家/企画展「Ubiquitous Humanity(偏在する人間性)」参加)

文化庁メディア芸術祭というメディアを通じて日本と香港、そして世界のアーティストと交流できる機会となった。

JUNG

(第17回アニメーション部門大賞/企画展「Ubiquitous Humanity(偏在する人間性)」参加)

今年は『はちみつ色のユン』を文化庁メディア芸術祭新潟展で上映し、そして香港でも上映することが出来た。一人でも多くの方に作品を観てもらう機会を頂いた事に感謝しています。

LAU Hochi

(第17回アート部門新人賞受賞作家/企画展「Ubiquitous Humanity(偏在する人間性)」参加)

3年前『Learn to be a Machine DistantObject #1』を日本で展示し、今年は新作の『wasd human』を文化庁メディア芸術祭企画展の出展作品として香港で展示をできたことは非常に意味深く、光栄なことであり、貴重な経験となりました。ありがとうございます。

“偏在する人間性”をテーマに香港にて企画展を開催

2016年11月26日(土)から11月29日(火)まで“Ubiquitous Humanity (偏在する人間性)”をテーマに、人間の感受性(身体、感情、行為)をテクノロジーによって増幅させたり、人間と機械の境目を探る作品を集めた企画展を、香港の中心に位置するギャラリースペース「The Annex」にて開催します。
芸術作品を生み出す人間とテクノロジーの振る舞いを通して、“人間の存在”を改めて問いかけます。

作品紹介

[詳しい展示内容を見る]

展覧会コンセプト

メディア芸術を最先端技術と関連づけるならば、究極的には人工知能による芸術作品が最も批評性を持つ、という結論にたどり着く。なぜなら、これこそがテクノロジーや道具を生み出してきた人間存在に対する最大の問いであるからだ。

しかし、これまでの文化庁メディア芸術祭の受賞作品や審査委員会推薦作品を見てみると、人間の身体的能力の拡張や補助を試みたり、哀切や感傷といった複雑な感情を喚起したり、機械と人間の境界線を探る作品が少なくないことに気がつく。

このことは、ふたつのことを示唆しているように思われる。ひとつは芸術活動、芸術作品は人間の感受性から生まれ、受容され、メディア芸術はその感受性の増幅するための装置であるということ。そしてふたつめは、人間は成長するオペレーションシステムであり、そのシステムを拡張するガジェットと親和性が高いこと。だからこそ、メディア芸術の生産やガジェットの利用には、個人的、あるいは集団的な経験から導きだされた倫理観、そしてその倫理観に対する批評活動や人的コミュニケーションが求められる。

本展では、こうした問題意識を共有、喚起する作品を選択した。作品の展示に加え、会期中は作家によるパフォーマンス、キュレーターと作家によるトークを開催する。

企画ディレクター:高橋 瑞木(MILL6 Foundation シニアキュレーター)

連携イベント

MILL6 Foundation「TECHSTYLE Series 1.0: Ariadne’s Thread」

参加概要

The Annex 香港 「Ubiquitous Humanity」(偏在する人間性)

会期: 2016年11月26日(土)〜11月29日(火)
会場: The Annex(香港)
サテライト会場: Future Cinema Studio(M6094),Screening Theather(M1052), Run Run Shaw Creative Media Centre, City University of Hong Kong
Facebook: https://www.facebook.com/Special.Exhibit.from.JMAF.HK/
主催: 文化庁
協力: MILL6 Foundation
School of Creative Media, City University of Hong Kong

企画ディレクター: 高橋 瑞木(MILL6 Foundationシニアキュレーター)
事業アドバイザー: 古川 タク(アニメーション作家)
毛利 嘉孝(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授/社会学)
企画・運営: 一般財団法人NHKインターナショナル

TOP