現在ご覧になっているのはアーカイブサイトです。

JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

メディア芸術海外展開事業日本のメディア芸術を世界へ

上映プログラム

Beautiful drawing―ハンドドローイング〜その無限の世界


磨き上げられた完璧な表現としてのハンドドローイングのアニメーション10作品を紹介します。

プログラム監修:岡本 美津子(東京藝術大学大学院映像研究科長・教授)


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
くちゃお

奥田 昌輝 (日本)

第14回アニメーション部門審査委員会推薦作品 3分48秒
短編アニメーション

ガムを噛むことが生きがいの小学生くちゃおはクラスの嫌われ者。みんなで風船を一斉に飛ばしても、くちゃおは風船を手放さない。学校からの帰り道、風船ガムを噛み出すと空想の世界に入っていく。持っていた風船が顔になりガムを噛みだすと、様々なものに変化していき、空想は飛躍していく。そこへ鳥が飛んできて・・・


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
布団

水尻 自子 (日本)

第16回 アニメーション部門 新人賞 6分2秒
短編アニメーション

布団のなかに入る。頭に浮かぶ記憶、想像する此の先、思い起こす感触、染みついた性、何もかも一緒に気持ちよくとろけていく。布団のなかで身体が感覚を求めて彷徨う……。紙に作画し、それをトレーシングペーパーを通して画面に取り込むことでやわらかい質感を作り出している。動きと感覚の連鎖をテーマにした作品。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
古事記 日向篇

山村 浩二 (日本 )

第17回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品 12分7秒
短編アニメーション

世界が誕生し神々が生まれ出づるという創世神話から始まる、712年に編さんされた日本最古の歴史書『古事記』。そこから日向を舞台にした「禊」「天照大御神」「木花之佐久夜毘売」「海佐知山佐知」の4つのエピソードをアニメーション化した作品。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
ヨナルレ Moment to Moment

中田 彩郁/サキタニ ユウキ (日本)

第16回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品 7分53秒
短編アニメーション

このアニメーションは一編の夜の詩である。時計の音がカチカチと鳴り響いている。今夜は街の上に月が昇っていないと思ったら、白い大きな球体が現われた。振り返ると、まんまるお目目に、とんがった鼻。すると街の家々はいっせいに動き出した。「空に浮かぶ月」と「記憶の中の月」がつながる真夜中の一瞬。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
WONDER

水江 未来 (日本)

第17回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品 8分8秒
短編アニメーション

一日が始まり、一日が終わる。命が生まれ、やがて死ぬ。すべてのものには始まりがあり、等しく終わりがくる。小さな存在の生と死の繰り返しが、この世界の呼吸になっている。命は不思議で、奇跡的で、驚きで、生きることは、「ワンダー」に満ちている――。8,760枚に及ぶ手描きアニメーションにより、目いっぱいの幸せを表現した作品。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
夕化粧

胡 嫄嫄 (中国)

第16回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品 10分19秒
短編アニメーション

1960年代の中国。おばあさんは庭で涼んでいる。夕日が空を橙色に染め、夕化粧の花が咲き始めた。おばあさんは夕化粧の花に誘われ、子どもの頃の思い出からかつて自分が一番麗しかった時間の夢を見る。中国風の切り絵をモチーフにして、柔らかい紙の質感と鮮明な色彩を意識して制作された。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
グレートラビット

和田 淳 (日本)

第16回 アニメーション部門 優秀賞 7分12秒
短編アニメーション

かつてわれわれは自分たちとは違う、崇高で深遠で神秘的な存在を「グレート」を付けて呼んでいた。それはまさにグレートで、その存在を信じる者と信じられる世界がひとつであった。時代は進み思考や思想がそれまでのものと変わり、ついには信じられていたものが信じられなくなった今、いまだにグレートと呼ばれ続けるその存在のグレートたる由縁は何なのか。0.3mmの細い線と淡く抑えた色味でこれらの登場人物や背景を描き、服従しないこととはどういうことなのかを表現した。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
MAZE KING

キム・ハケン (韓国)

第17回 アニメーション部門 審査委員会推薦作品 7分1秒
短編アニメーション

もうここにはいられない。明日の朝、ここを出なければならないのだ――。迷路の中のピエロはそう言って、遊園地の住人である少女、女装した男、軍人、犬の元を訪ね、何とかみんなをメリーゴーランドに間に合わせるよう急がせる……。決心の時、揺れる心と冴えない頭のモノローグがつぶやかれる。台詞劇を通して、大きな分岐点に立った男の心の情景を描いた作品。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
火要鎮

大友 克洋 (日本)

第16回 アニメーション部門 大賞 12分43秒
短編アニメーション

18世紀中頃の江戸の町。商家の娘「お若」と幼馴染の「松吉」。惹かれ合う2人であったが、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる。そんなさなか、お若の縁談の話が進み始めた。松吉への思いを忘れられない彼女の狂った情念からの行動は、大火事を引き起こし江戸の町を焼き尽くす。その大火のなかで再びめぐり合う2人。本作は、伝統的な日本画の画風を映像表現のモチーフとし、舞台である300年前の東京(江戸)の風俗や道具、生活を再現する描写にこだわった。また、作画のアニメーションの表現と3DCGによる表現を融合させ、斬新な映像表現を実現した。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
マイブリッジの糸

山村 浩二 (日本)

第15回 アニメーション部門 優秀賞 12分39秒
短編アニメーション

1878年に馬の連続動作を撮影することに成功し、映画の誕生に多大な影響を及ぼした写真家エドワード・マイブリッジの人生と、現代の母と娘の情景を描き、時空を超えた2つの世界の対比によって「時間」に思いをめぐらせるアニメーション。カリフォルニアと東京、19世紀と21世紀を往き交いながら、マイブリッジの波乱に満ちた人生を幻想的に描く一方、慈愛にあふれた母娘の光景が印象的に登場する。「時間は止められるのか?」という問いをモチーフとした、日本とカナダの国際共同制作作品。