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JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL

メディア芸術海外展開事業日本のメディア芸術を世界へ

上映プログラム

Award-winning Program 2017


第20回文化庁メディア芸術祭各部門の受賞作品を収録。時代を映し出す文化庁メディア芸術祭のトレンドをアーカイブします。

Award-winning Program 2017
Alter

『Alter』制作チーム 代表:石黒 浩/池上 高志 (日本)

優秀賞2分10秒
メディアパフォーマンス

ロボットの持つ「生命らしさ」を外見だけでなく、運動の複雑さで実装した。『Alter』は42 本の空気圧アクチュエータで構成された体と、年齢・性別が不明な「誰でもない」顔を持つ。その運動は、CPG(Central Pattern Generator)をモデルにした周期的な信号生成器、ニューラルネットワーク、周囲に設置したセンサーによって制御される。その動作は、自らの周囲を認識する照度センサーや距離センサーの値にも反応し、なめらかでカオティックな身振りを見せる。「メカニズムも存在目的も生物とは異なる機械が、ときに生物よりも生命性を感じさせるのはなぜか?」という問題を提起する作品。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
ムーム

堤 大介/ロバート・コンドウ (日本/米国)

新人賞13分52秒
短編アニメーション

川村元気と益子悠紀による絵本『ムーム』(2014) をフル3DCGでアニメーション化した作品。人間が捨てたモノに宿る「思い出」が存在する不思議な世界が舞台。湖のほとりに暮らす主人公のムームは、宇宙服を着た相棒ケネディと、ガラクタから思い出のかたまりを引っ張り出し、空に帰す仕事をしている。緑豊かな自然を背景に愛らしいキャラクターたちの出会いと別れを、精緻な映像と静謐な音楽とで表現している。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
I Have Dreamed Of You So Much

Emma VAKARELOVA (ブルガリア)

新人賞 3分00秒
短編アニメーション

「地平線」の叶わぬ愛を描いた短編アニメーション。「地平線」である彼は、海に浮かぶ一隻の小さなボートである彼女に思いを寄せる。彼女は 終わりのない海の水平線の先を進み続け、けっして「地平線」に辿り着くことはできない。本作は、フランスの詩人ロベール・デスノスの詩「I Have Dreamed Of You So Much」(1926)を題材にしている。鮮やかな色彩を用いた絵画のような映像世界と軽やかなナレーションがロマンティックな愛の物語を巧みに演出する一方で、シャープな筆致で細部までこだわった描写は、彼が彼女へ向ける実現することのない切ない心情を映しだしている。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
岡崎体育「MUSIC VIDEO」

岡崎体育/寿司くん (日本)

新人賞 4分27秒
ミュージックビデオ

男性ソロアーティスト岡崎体育のミュージックビデオ。ミュージックビデオにおける‶あるある"がテーマの楽曲で、「カメラ目線で歩きながら歌う」「急に横からメンバー出てくる」などミュージックビデオで目にしがちな演出が歌詞になっており、その歌詞に沿って岡崎体育自身が‶あるある"をひたすら再現していく。撮影スタッフは岡崎体育本人を含め計3名のみで、約100時間をかけて撮影した。制作費6万円ながら、SNSを中心に大きな反響を呼んだ作品。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
A Love Story

Anushka Kishani NAANAYAKKARA (英国)

優秀書 7分00秒
短編アニメーション

恋に落ちた2つのキャラクターと、彼らの無垢な世界にゆっくりと侵食してくる暗闇に打ち勝とうとする様を描いたストップモーション・アニメーション。関係性を築く難しさに思い悩む様子が物語の中心になっており、キャラクターのやさしさに光が当てられている。毛糸という暖かな手触りを感じさせる素材を使い、キャラクターの心情を深くかつ誠実に描いている。7段のガラスの棚によるマルチプレーン撮影台を用いてそれぞれの段に素材を重ね、奥行きをつくって人形を撮影するなど、さまざまな実験的な手法を駆使することで、次々に移り変わるシーンを巧みに表現した。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
君の名は。(トレーラー)

新海 誠 (日本)

大賞 1分32秒
劇場アニメーション

山深い田舎町の女子高生・ 宮水三葉は、ある日、自分が東京の男子高校生になる夢を見る。一方、東京で暮らす男子 高校生・立花瀧も、山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見る。繰り返される不思議な夢と抜け落ちた記憶や時間から、三葉と瀧は自分たちが夢のなかで入れ替わっていることに気づく。千年に一度の彗星来訪という出来事を舞台に、少女と少年がお互いを知り、求めあう恋と奇跡の物語。世界の違う2人の隔たりとつながりから生まれる「距離」のドラマを、圧倒的な映像美とスケールで描き出している。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
シン・ゴジラ(トレーラー)

庵野 秀明/樋口 真嗣 (日本)

大賞 1分30秒
映像作品

特撮映画シリーズ『ゴジラ』の12年ぶりとなる最新作。日本に襲来したゴジラという虚構の巨大生物に官僚や政治家が立ち向かう群像劇。「現代日本に初めてゴジラが現われた時、日本人はどう立ち向かうのか」をテーマに、その社会状況を忠実に再現し、リアリティを追求した災害シミュレーションをドキュメンタリータッチで描いた本作は、子どもやファミリー向けの作風であった従来の『ゴジラ』シリーズに対して異色のアプローチとなり、特撮や怪獣映画に関心のない層からも注目を浴びた。本作に登場するゴジラは国内シリーズ初のフルCGで史上最大となる体長118.5mのスケールで描かれ、建物を破壊しながら都内を徘徊する姿は多くの観客を圧倒した。


JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
培養都市

吉原 悠博 (日本)

優秀賞 17分40秒
映像インスタレーション

東京都心から新潟の柏崎刈羽原子力発電所までの 「高電圧送電ケーブルのある光景」を4K一眼レフカメラで撮影/編集し、縦長の映像で投影する映像インスタレーション。。2012–15年の約2年半のあいだ、両地域を結ぶ山間部のダム、国内最長河川・信濃川沿いの町村を何度も往来して撮影された。急速に経済発展した日本のなかで、互いに依存しあう東京と新潟との関係が鮮明になる。巨大電力消費地・東京に暮らす人々への、またかつて東京に生きた新潟県民である作者自身への問いとして、高電圧送電ケーブルが象徴する「地方と首都の極端な非対称関係」を顕在化させた。