21st Japan Media Arts Festival Award-winning Program 第21回文化庁メディア芸術祭:アニメーション部門、エンターテインメント部門、アート部門の受賞作品を収録。 時代を映し出す文化庁メディア芸術祭のトレンドをアーカイブします。 アート部門 受賞作品 優秀賞 © Ryo ORIKASA “水準原点” (2015) 折笠 良 映像作品 [6分41秒] 戦後を代表する詩人であり、シベリア抑留の経験をもつ石原吉郎(1915-77)の詩「水準原点」を、約1年にわたって粘土に刻印し、ストップモーション・アニメーションの技法で制作した映像作品。波の単純な反復が内包するドラマを、クレイアニメーションの表現が引き出している。 優秀賞 © Furen Dai “Language Producing Factory” (2016) DAI Furen 映像インスタレーション [9分12秒] 中国湖南省江永県の山村で女性だけに伝承された言語「女書」をテーマにした映像インスタレーション。絶滅の危機に瀕する言語として注目されているこの「女書」やそれを取り巻く文化が、商品として扱われるさまを風刺的に描く。 新人賞 © 2016 Gary Setzer. “Panderer (Seventeen Seconds)” (2016) Gary SETZER 映像作品 [17秒] 作者は「美術館で、平均的な鑑賞者がアート作品を見るのに使う時間は1作品につき約17秒であり、この映像作品はその制約を受け入れて17秒という理想的な鑑賞時間を正確に守っている」と語り、アートを鑑賞するという体験に対して私たちが持っている期待感を、ユーモラスに皮肉っている。 エンターテインメント部門 受賞作品 優秀賞 © INDUSTRIAL JP “INDUSTRIAL JP [ID-1 小松ばね工業×DJ TASAKA]” (2016) INDUSTRIAL JP 映像・音響作品 [4分16秒] INDUSTRIAL JPは、日本の町工場をレーベル化するプロジェクトで、主役は、日本のテクノロジーを支える高い技術力を持つ町工場。その美しく、緻密な製造過程から生み出される音と映像を、気鋭のトラックメーカーがリミックスし作品化。最先端のテクノロジーとミュージックが融合している。 新人賞 © 2017 YasuakiIshiawa MikadukiHutatsu KeishiKondo “盲目の魚-The Blind Fish-” (2017) 石川 泰昭/ミカヅキ フタツ/Keishi Kondo 映像・音響作品 [4分52秒] 光も届かぬ湖の底に、小さな魚がおりました。 魚が歌うのは、金魚鉢の中で聴いた、懐かしい子守唄。 「あの頃は、何もかもが悲しく見えて、逃げ出してしまったけれど…。 本当に、そんなに悪い事ばかりだったのかしら?」 時々、そんなことを考えて、暖かな光を懐かしく思うのです。 アニメーション部門 受賞作品 大賞 © Fumiyo Kono/Futabasha/Konosekai no katasumini Project “この世界の片隅に” (2017) 片渕 須直 劇場アニメーション予告編 [1分48秒] 1944(昭和19)年2月。18歳のすずは、突然の縁談で軍港の街・呉へとお嫁に行くことになる。新しい家族には、夫・周作、そして周作の両親や義姉・径子、姪・晴美。配給物資がだんだん減っていく中でも、すずは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。 1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの艦載機による空襲にさらされ、すずが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。 そして昭和20年の夏がやってくる―。 大賞 © 2017 Lu Film partners “夜明け告げるルーのうた” (2017) 湯浅 政明 劇場アニメーション予告編 [1分35秒] 両親の離婚で寂れた漁港の町・日無町に引っ越してきた中学生の少年・カイは、心を閉ざし生活していた。そんなカイの前に歌うことが大好きな人魚の少女・ルーが現れる。カイは、ルーとの交流を通し少しずつ心を開いていく。しかし、人魚は災いをもたらすと信じる町の住人達がルーを幽閉してしまう。 優秀賞 © PROGRESSIVE FOrM “ハルモニア feat. Makoto” (2017) 大谷 たらふ 短編アニメーション [3分50秒] ベッドからは出たくない、けれども、朝はやってくる。 ファンタジーの世界での、ひとときのブレイク。 ダンスミュージックやゲーム音楽の影響を受けながら、音楽活動を続けてきたyuichi NAGAOがリリースした楽曲の、ミュージックビデオが本作品。 優秀賞 © IKKI Films/ Manuel Cam Studiodio “Negative Space” (2017) KUWAHATA Ru / Max PORTER 短編アニメーション [5分30秒] 出張の多い父親とその息子のあいだの、鞄を通じた交流の物語。 スーツケースという小さな空間へ、いかに効率的に荷物を詰め込むかが、遠く離れることの多い親子にとっての密なコミュニケーションのかたちとなっていた。少年は大人になり、かつてのその記憶を思い出す。 新人賞 © Ltd "Studio "Ural-Cinema" “The First Thunder” (2017) Anastasia MELIKHOVA 短編アニメーション [5分00秒] 自然やキャラクターたちによるミュージカル・ファンタジー。 冬眠からの目覚めや春の訪れを描くとともに、美と冒険でいっぱいの「世界」へと飛び出していく道のりを描いた物語。 古きよきミュージカル・カートゥーンの良質な伝統をロシア風に蘇らせたような作品として高い評価を受けた。 新人賞 © 2017 Zorobabel Photo: 2017 Zorobabel “Yin” (2017) Nicolas FONG 短編アニメーション [10分30秒] 神はひとりぼっちで、他人の幸せが妬ましかった。神が息を吐きだし、分子の渦をつくり出すと、平面的な円盤が現れた。その中心では軸が回転し、立体的な山ができあがる。神はその世界を完成させんがため、さまざまな要素を置いていく。そのなかで、陰と陽=女性と男性が生まれたのだが…。