- 出展&特設サイト
マンガバルセロナ 2020
「マンガバルセロナ 2020」との連携
スペイン最大のマンガフェスティバル「マンガバルセロナ」(スペイン・バルセロナ)は、今年はオンラインのみで「LIMITED EDITION(リミテッド エディション)」として開催されました(会期10月30日~11月1日)。
本事業では、10月29日(木)にフェスティバルとの連携特設サイト、「Manga, diversidad e inclusión」(マンガ、ダイバーシティー・アンド・インクルージョン)を公開しました。
バルセロナ在住のマンガ研究家・翻訳家であるマルク・ベルナベ氏を企画ディレクターに迎え、第22回メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞の鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」の特集展示を中心に、日本マンガの多様性を示す6作品を紹介しました。
また、オンラインイベントとして、展示で作品を紹介した人気マンガ家による、Q&A セッションやライブドローイングを実施しました。
企画キュレーションテーマ:『Manga, diversidad e inclusión(マンガ、ダイバーシティー・アンド・インクルージョン)』
「ダイバーシティ&インクルージョン」はここ数年、欧米では重要な課題となっており、人種、ジェンダー、社会階級、セクシャリティについて、どんな人にも真の平等を実現するための取り組みがなされています。実現への道のりはまだ遠いですが、それでもここ数十年で大きな進歩を遂げました。1950年代や60年代の公民権運動はもちろん、今盛んにおこなわれているBLM(「黒人の命も大切だ」)運動を思い出してください。さらにフェミニズムでも婦人参政権を訴える動きから#MeToo運動へと発展しました。 また、現代の同性愛者解放運動は抵抗や社会的重圧を受けながらも、1970年代にアメリカで始まり、LGBTI+の認知と受容という大きな功績を成し遂げました。
LGBTI+の問題について言うと、多くの社会において単にゲイやレズビアンの人たちの認知度が目に見えて上がったというだけではありません。トランスジェンダーの問題も同様に表面化するようになり、ここ20年で世界中の多くの国でこういった人々に婚姻の権利を与えることが、当たり前になりました。「ダイバーシティ(多様性)」という言葉はたくさんの人々やメディアの両方から共感を持って受け入れられています。
「ダイバーシティ」はさまざまな概念を含む言葉であり、人種やジェンダーに関するテーマだけに限定されるものではありません。メリアム・ウェブスター英英辞典によると、「多様性とは(異なる人種や文化といった)違う属性の人々をグループや組織に受け入れること」と定義されています。今回の展示では、マンガが多様性、容認、エンゲージメント、インクルージョン、ノーマライゼーションに関連する物語をいかに効果的に伝えることができるかを示しています。ドラマ、ラブストーリー、日常の1コマを描いた物語、癒し系作品、SF、アクション、教育、ドキュメンタリーといったさまざまな形態やジャンルのマンガでその種のテーマが表現されているのです。
日本では膨大な種類のマンガが出版されていますが、海外市場に届くのは、そのうちのわずか数パーセントに過ぎず、しかもその多くはアクションやアドベンチャーがテーマの人気シリーズです。しかし、それ以外の作品が出版されるケースも増加の傾向にあります。「ダイバーシティ&インクルージョン」に直接関係のあるキャラクターや問題が描写されている日本マンガも欧米読者の共感を呼んでいます。事実、中には日本より海外人気のほうが高いという作品もあり、マンガがより幅広いテーマを扱い、より多様な媒体であるというイメージが広がりつつあるのです。
今回の展示では、「ダイバーシティ&インクルージョン」を扱った、優れた作品を選びました。いずれも文化庁メディア芸術祭マンガ部門の受賞作品(大賞、優秀賞、新人賞)および審査委員会推薦作品であり、選りすぐられた作品ばかりです。
企画ディレクター:マルク・ベルナベ
企画内容
マンガ部門特設サイト
「マンガバルセロナ 2020」の会期に合わせてWEBサイトを海外オーディエンス向けに構築(言語は英語とスペイン語)し、日本マンガの多様性を示す6作品を紹介。また、オンラインイベントとして、展示で作品を紹介した人気マンガ家による、Q&A セッションやライブドローイング等のプログラムを配信しました。
Manga, diversidad e inclusión特設サイトはこちら
*英語、スペイン語
オンライン展示
第22回メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞の鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」の特集展示。今回のために描き下ろしていただいたオリジナルドローイングの展示やその制作風景の映像、また、キャラクタースケッチやネーム等なども紹介。
メディア芸術祭マンガ部門の受賞作品と審査委員会推薦作品より、日本マンガの多様性を示す5作品を紹介。
オンラインイベント
人気マンガ家(鶴谷香央理先生、田亀源五郎先生)によるオンライン・トークイベント。